不倫裁判の進み方

パートナーの浮気が原因で相手の人に離婚や親権、慰謝料請求の際に双方折り合いがつかずに民事裁判となる場合があります。離婚や親権については裁判で争ったとしても浮気をした方が不利になるので、話し合いで解決に至るケースがあります。特に離婚についてはいきなり裁判を起こすことができません。まず最初に裁判所で離婚調停という手続きを行い、調停委員を交えた話し合いが行われます。離婚調停でも話がまとまらなければ(離婚調停不成立)離婚裁判となります。離婚調停で決着がつくことがあるので、離婚裁判に至るケースは少ないのです。ところが、浮気相手に慰謝料を請求する際に相手に支払い能力が無い場合には減額を求めて裁判となる場合があります。
被害者が浮気を行った本人やその相手に対して慰謝料を請求するような不倫裁判の流れですが、一般的な民事訴訟の手続きに従います。原告は被害者で被告は不倫を行っていた当事者となります。原告である被害者は弁護士に依頼して、不倫の証拠と共に訴状を作成して裁判所に提出します。訴状には慰謝料の金額や根拠となる事実関係を記載します。訴状に添付する証拠物件は、その後の裁判の流れに大きく影響します。訴状が完成したら所轄裁判所に提出します。どこの裁判所に提出するかは原告の自由ですが、一般的に原告にとって利便性の良い最寄りの裁判所に提出します。不倫を行っていた被告(加害者)の居住地に合わせる必要はありません。
裁判所が訴状を受理すると、訴状の写しが作成されて被告(不倫相手の住所地)に届けられます(訴状の送達)。訴状と共に裁判の第一回期日も指定されます。一般的に訴訟提起から1〜2月程度先に第一回期日が指定されます。第一回期日は被告(不倫相手)の都合を聞かずに一方的に日程が指定されるため、被告は答弁書を提出した上で裁判を欠席することが許されています。実質的に主張立証が始まるのは第二回期日以降になります。
裁判は期日内にどちらか一方が自分の言い分を主張し、これに対して次回期日にもう一方の側が反論します。裁判に至るまでに話し合いが行われて双方に言い分がある訳ですから、このようなやり取りが何度か行われます。このため、話が煮詰まってくるまで時間がかかります。弁護士から裁判の経過が報告され、必要に応じて弁護士との打ち合わせが行われます。このようなやり取りの間に、裁判所が双方の主張を聞いて和解案を出す場合があります。当事者から和解案が出されることもあります。双方が和解案を受け入れて裁判が終了に至るケースがありますが、どちらか片方が受け入れなければ裁判所の判決を待つことになります。
和解案を受け入れるのと、判決を出してもらう場合にはそれぞれにメリットとデメリットが存在します。和解案を受け入れるのであれば、原告と被告双方に何かしらの譲歩が求められます。その代わり、和解案には慰謝料の金額だけでなく「今後一切会わない」「連絡しないこと」などの付帯条件を付けることができます。現実に裁判で勝訴した後に被害者が被告(不倫の相手など)から執拗な嫌がらせを受けたとか、離婚した相手からストーカー被害に遭うようなケースも起こり得ます。そのため裁判後の事も考えて、付帯条件付きの和解案を受け入れるのも1つの手段です。和解案を受け入れる場合には「裁判上の和解」となり、和解調書が作成されます。和解調書は当事者間で話し合った上で作成される示談書とは異なり、裁判の確定判決と同じ効力を持ちます。そのため、例えば和解を受け入れて慰謝料の支払いに同意した場合に、相手が同意に従わずに支払いを拒んだ場合には預貯金や不動産を差し押さえることも可能です。和解が成立して金銭の支払いが終了すれば、慰謝料請求は終了することになります。
裁判が終盤になっても双方が和解案を受け入れずに裁判が進められると、ある程度話がまとまってきた時点で尋問手続きが実施されます。これは裁判官が判決を下す上で知りたいと思う内容について、直接当事者に質問して聞き出すものです。双方の主張内容に食い違いがある場合には、尋問手続きによって裁判官が発言の整合性や矛盾点を確認します。尋問の場で法廷で原告人と被告人が初めて顔を合わせることになります。必要に応じて証人に対しても尋問が行われる場合があります。尋問手続きの際は、原告・被告・証人が直接裁判官の質問に答える必要があり、応対の仕方によって裁判官の心証に影響を及ぼす場合があります。尋問手続きは一般の傍聴者が聴いている前で行われることになります。そのため原告・被告双方の関係者や、無関係の人が傍聴する場合があります。
判決が出される場合には、「××円を支払え」とか「請求を棄却する」などのはっきりした形で決着することになります。判決に付帯条件を付けてもらうことはできません。
原告・被告のどちらか片方が判決に納得しなければ、上級裁判所に控訴が行われる場合があります。